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ほぼ完璧なんだけど…山崎賢人”不死身の杉元”に足りないものとは? 実写版『ゴールデンカムイ』キャラクター再現度評価&考察

映画『ゴールデンカムイ』が公開中だ。公開直後から大好評の声が上がる本作。実写化あるあるの「解釈不一致だ」という意見はほぼ見当たらず、多くの人が満足する仕上がりとなった。今回は主人公・杉元佐一を演じた山崎賢人にフォーカス。原作ガチファンの筆者による実写でのキャラクター再現度について解説する。(文・ジュウ・ショ)

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【著者プロフィール:ジュウ・ショ】

フリーランスとしてサブカル系、アート系Webメディアなどの立ち上げ・運営を経験。コンセプトは「カルチャーを知ると、昨日より作品がおもしろくなる」。美術・文学・アニメ・マンガ・音楽など、堅苦しく書かれがちな話を、深くたのしく伝えていく。→note

杉元佐一(山﨑賢人)は”不死身の杉元”の気迫が凄い!

山﨑賢人【Getty Images】
山﨑賢人Getty Images

まずは主人公の杉元。前提として、このキャラクター再現は、めちゃくちゃ難しい。原作での杉元は本当に「いろんな表情を見せるキャラクター」だからだ。

殺さなければ殺される、という「不死身」、敵に対しては容赦ない「サイコ」、アイヌの人や文化に対する「誠実さ」、ギャグを連発する「お茶目さ」、動物やお花をかわいがるときの「キュートさ」などなど、場面によっていろんな顔を見せる。もはや情緒がおかしい。

映画では、なかでも「不死身の杉元」の表情が際立っていた。冒頭の日露戦争のシーンから始まり、作中は基本的にシリアスなムードが続く。

原作でも鬼神のごとき戦いをするが、山崎賢人は、そんな杉元を見事に再現していた。ロシア兵に対しても、第七師団に対しても「自分が死なないために相手を殺す」という気迫が伝わってきた。

一方で「お茶目さ」や「キュートさ」は今作では控えめだ。特に原作であった小ネタシーンは割と削られている。例えば「鉛筆初体験のアシㇼパに対して、鉛筆を振って曲がるように見せて遊ぶ」とか「アシㇼパに『ヒンナ(おいしい)か?』と言われ『ヒンナヒンナ』と恥ずかしそうに答える」というシーンはカットされている。

また「アシㇼパさんから小熊を守るシーン」は原作では、ちょっと乙女チックかつ変顔全開だったが、映画ではちょっとローテンションである。このあたりの杉元の表情は、次回作以降に期待したい。

(文・ジュウ・ショ)

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