GACKTが真のコメディ俳優として開花
1992年に結成された伝説のヴィジュアル系ロックバンド「MALICEMIZER」のヴォーカルであるGACKT。解散後は、ソロシンガーソングライターとして活躍。現在では本作を含めた俳優業もこなし、その独得なユーモアセンスで、バラエティー番組にも引っ張りだこだ。
容姿端麗であり音楽センスもさることながら、高い演技力、笑いの能力も極めてハイセンス。さらにストイックな身体トレーニングによって、運動能力も半端ない。そんな芸能人、他にいるだろうか?
彼だからこそ、麻実麗を完璧に、いや、原作超え、いや、原作とはまた別モノの存在として完全に自身のキャラとして落とし込むことに成功している。
前作を観た時は、コメディキャラを演じる上での照れが感じられ「惜しい!」といった印象を受けた。だか、今作では、GACKT様のストイックなプロ意識に裏打ちされた完璧なコメディ芝居が披露され、実に痛快。敵の策略にハマり、関西弁を話さざるを得なくなった際の、しゃくれ顔も辞さない迫真の演技はどうだ。
また、関西人にたこ焼きを口に突っ込まれるシーンや、吉本新喜劇の鉄板ネタである”すっちー&吉田裕”の「乳首ドリル」をくらうシーンでの絶叫。その後、もう一回やられるかと思ったら、やられず、「やらんのかーい!」とツッコミタイミングの鮮やかさなど、コメディー俳優としてのGACKTの資質が真に開花した作品として特筆すべきで出来栄えとなっている。
印象的なシーンはコメディーパート以外にもある。映画序盤、麻実麗が滋賀県の浜辺に打ち上げられた際、たまたまそれを発見した桔梗魁(杏)の第一声は、「美しい…」だった。まさに納得のセリフであり、脚本の妙に唸らされる。
そう、大画面で観るGACKT様のクローズアップは、男性である筆者から見ても、非常に神々しい。「こんな(実年齢)50歳、おるんか!」と、感嘆しつつ心の中でツッコミを入れてしまった。