「滋賀のオスカル」こと杏が作り出す圧倒的な画力
次に注目したいのは、通行手形制度の撤廃を目指す「滋賀解放戦線」のリーダーである、桔梗魁を演じる杏である。
今年公開の映画『KINGDOM キングダム 運命の炎』で物語の鍵を握るキャラクター(紫夏)を演じた杏は、見せ場となるようなアクションシーン以外でも、「私こそが主役だ!」というオーラを常に放ち、観客の目を引いた。彼女には、ただその場にいるだけで観客の目線をスクリーンに釘づけにする力が備わっているのだ。
今回は、二階堂ふみ同様、男性役を熱演。「滋賀のオスカル」を名乗っていることから、『ベルサイユのばら』のオスカルをイメージしているわけであるが、観ているうちに、本当に男性に見えてくるから不思議だ。
とにかく険しい表情から発せられる、仲間たちへの号令は、腹式呼吸抜群の雄たけび。かと思ったら、定期的に訪れる、麻実麗とのキス未遂(くだらない理由でキスまでは至らない)の滑稽ながらも耽美的な描写がとにかく素晴らしい。