ノコルの葛藤
乃木の提案で、血の繋がりを証明するべく、DNA鑑定が行われ、その結果は「99.999%」と出る。ベキは実の息子に「よく生きていた…」と涙ながらに語り掛ける。そして独り、家族写真を手に「明美、憂助は生きていたんだ…」と落涙する。
一方、ノコルは連れ去られる黒須を横目に「あいつがいると鬱陶しいよなぁ、兄弟」と話すが、乃木とは目も合わせず、その表情は曇ったままだ。去り際には苦み走った顔を見せる。
ノコルの思いとしては、ベキを「お父さん」と呼び、ひと時もそばを離れず、テントの活動を共に引っ張ってきたところに突然、実の子、しかも年上の“兄”が現れ、気分のいいものではなかっただろう。さらに、ベキから「血は繋がっていない」と明言されていることから、ノコルは実子ではなく養子であったとも推測される。
実子であることが証明されたにも関わらず、牢に入れられたままの乃木には、様々な試験が施され、「IQ137」という結果が示される。乃木に対し、自分に会うためとはいえ、仲間を裏切ってきた、その行為に引っ掛かりを覚えていたベキも、この類まれな能力を生かす考え方に舵を切る。