“お笑いしか能”がない男の悲喜劇
20歳となったツチヤは、大喜利番組で“レジェンド”に昇格したことが自信になり、自作のネタを書いた大量のノートを携えて劇場に押し掛ける。なんとか作家見習いの座を勝ち取り、そのキャリアをスタートさせる。
しかしツチヤには、致命的ともいえる短所を抱えていた。他人との交流が絶望的なまでに苦手なのだ。 そんなツチヤは当然、芸人の間では疎まれ、唯一、味方だった芸人に提供したネタにも盗作疑惑がかけられ、追い出されるように劇場を去る。職を失ったツチヤは、ホストやコンビニのバイトに転じようとするが、何一つ上手くいかない。やはりツチヤはお笑いしか能のない男なのだ。
自暴自棄になるツチヤ。そんな彼を支えたのは、ツチヤがネタを書くために通いつめていたバーガーショップ店員のミカコ(松本穂香)と、ムショ帰りのチンピラ・ピンク(菅田将暉)だった。笑いを諦め切れずにいたツチヤは、2人の後押しの声を原動力に、再びハガキ職人として再起する。
そんな中、売れっ子漫才コンビ「ベーコンズ」の西寺(仲野太賀)から声が掛かり上京、構成作家としてラジオ番組を担当する。 しかしツチヤにとって、東京は地元の大阪よりも厳しい世界だった。