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どん底からの這い上がる狂気な再起

©︎2023「笑いのカイブツ」製作委員会
©︎2023笑いのカイブツ製作委員会

西寺によって過保護なまでに守ってもらいながらも、ツチヤの人間嫌いな性格は一向に直らず、スタッフに盾突いた挙げ句、LINEに「人間関係不得意」という言葉を残し、逃げ帰るように大阪に戻ってしまう。

ネタを書くことでしか自分を表現できないツチヤの肉体は、既に悲鳴を上げており、血尿や血便が出るまでに悪化していた。それでも西寺はツチヤを見捨ててはいなかった。東京での単独ライブに招待し、エンドロールの「構成」の欄にツチヤの名を記していたのだ。

しかし大阪に戻ったツチヤは、ピンクとミカコに励まされるが、誰も自分を理解してくれない現実に絶望し、店内で暴れてしまう。

その帰り、橋の上から道頓堀に飛び込むツチヤ。それは“構成作家・ツチヤタカユキ”の死を意味していた。ズブ濡れになって帰宅し、おかん(片岡礼子)に、「俺は死んだ。お笑い、もう辞めるでぇ」と呟くツチヤ。

しかし、その舌の根も乾かぬうちに、かつて5秒に1本のネタを書いていた床に座り、ネタが出ないと頭を叩きつけ、ヘコんでいた壁を足で突き破ってしまう。そこでツチヤは初めて笑顔を見せ、再びネタ作りに没頭するところで物語は終わる。

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