マフィア抗争と心理的葛藤の融合

映画『クレイヴン・ザ・ハンター』
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 父のニコライは、ロシアン・マフィアを牛耳る非常に冷酷かつ強権的な人物で、力こそすべてとし、男らしさを過剰に押し付ける。母は精神を病んで亡くなったが、父はそれを気にも留めず、狩りのために子供達をアフリカに連れ出す。

 セルゲイは、狩りの目標であった伝説のライオンに遭遇するも撃つのをためらい、重傷を負ってしまう。そこに現れたカリプソの秘薬と流れ込んだライオンの血によって、セルゲイは復活し、特別な能力に目覚める。その後、彼は父の後継者になることを拒否し家を出て、密猟者や悪党を狩るハンターとして生きることに。その一方で、クレイヴンが犯罪界の大物を始末したことで、その利権をめぐって、ニコライはアレクセイ(アレッサンドロ・ニヴォラ)と対立。さまざまな人を巻き込む抗争が繰り広げられる…。

 この映画では、クレイヴンたちによるバイオレンスなアクションが繰り広げられるが、それ以上に目立つのが、ラッセル・クロウ演じるニコライと親子の葛藤だ。『クレイヴン・ザ・ハンター』は、マフィアの抗争を背景にしたヒーロー映画でありながら、登場人物たちが強権的なニコライの存在に苦悩し乗り越えようとする、エディプス・コンプレックス的な心理的葛藤を描いた物語でもある。

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