ブラッド・ピットとモーガン・フリーマンによる凸凹コンビ〜配役の魅力
本作の配役といえば、まずはミルズ役のブラッド・ピットとモーガン・フリーマンに触れなければならないだろう。馬鹿がつくほど真っ直ぐで無鉄砲な田舎刑事・ミルズと、都会の生活に嫌気がさしている老練の刑事・サマセット。この絵に描いたような凸凹コンビのやり取りが、本作の一貫した推進力になっている。
演技で印象的なのは、本編のラストでミルズがジョン・ドウに拳銃を向けるシーン。憤怒と正義感の間を逡巡する彼の姿は、見るものの胸を打つ。加えて、ジョン・ドウ役のケヴィン・スペイシーの演技も注目。『ユージュアル・サスペクツ』(1995年)や『アメリカン・ビューティー』(1999年)などですっかりハリウッドの大御所俳優になったスペイシーだが、本作では「どこにでもいる普通の男が持つ得体の知れない不気味さを巧みに表現している。
なおスペイシーは本作の宣伝にあたり、自分の出演を徹底的に秘匿するようスタッフを説得。しかし、映画会社のクリエイターがうっかり彼の名前を書いてしまい激怒したという逸話が残されているまた、本作には『アイアンマン』シリーズでお馴染みの若干23歳のグウィネス・パルトロウがミルズの妻役で出演。健気で初々しい演技を披露している。なおピットとパルトロウは本作がきっかけで恋愛関係に。90年代を代表するビッグカップルとなった。