ビームは足を負傷したアーラを肩車
モチーフは『キン肉マン』史上屈指の決め技か?
物語はクライマックスに突入する。アーラとビームが再び手を組み、英国政府軍相手にバトルを繰り広げるわけだが、『キン肉マン』ファンである私は、最後の山場で度肝を抜かれると同時に、快哉を叫んだ。
脚を負傷しているアーラを普通なら背負うところだが、なんと、肩車をするのである。このシーン、筆者と同世代の熱心なジャンプコミックファンであれば、『キン肉マン』における“マッスルドッキング”を想起するのではないだろうか?
“マッスルドッキング”とは、キン肉マンの必殺技である「キン肉バスター」と「キン肉ドライバー」を肩車状態でタッグの相方とかけ合わせた、究極のフェイバリットホールド(決め技)のこと。この技は、人気エピソードの一つである「夢の超人タッグ編」で初登場し、当時、ジャンプのページをめくった日本中の少年たちを興奮させた。
…話は反れたが、そんな“マッスルドッキング”状態で、アーラは銃を両手にノールックでバンバン敵を撃ち倒し、ビームは自慢の怪力で諸突猛進するコンビネーションを見せつけるのだ。
そして、戦いも終盤に差し掛かり、アーラは“戦いの神”のような存在に覚醒。火矢でガンガン敵をなぎ倒していく。その無双ぶりを『キン肉マン』で例えるならば、作中屈指の強者・ウォーズマンが針状の爪・ベアークローを駆使して、超人オリンピックを勝ち抜いていった姿を彷彿とさせる。
共感してくれる人がどれだけいるか心許なくなってきたが、何はともあれ、ここまで、やりきってくれたなら、アッパレ!ザッツ・エンターテインメント。しかも、アーラの覚醒ぶりにも、一応の理由付けがあるところが、用意周到だ。
冒頭でも述べたが、S・S・ラージャマウリ監督と筆者は同世代。まさか『RRR』が『キン肉マン』に影響を受けたなどと大それたことは言えないが、その奔放な想像力のあり方には共通性が見出せる。
ひょっとしたら、ラージャマウリ監督は何かの間違いで、『キン肉マン』を目にしたことがあるのかもしれない。今後、幸運が訪れ、インタビューをする機会に恵まれたら、そのあたりをツッコんでみたいところだ。
(文・ZAKKY)
【作品情報】
『RRR アールアールアール』
監督・脚本:S・S・ラージャマウリ
原案:V・ビジャエーンドラ・プラサード
出演:N・T・ラーマ・ラオ・Jr.、ラーム・チャラン、アジャイ・デーブガン、アーリアー・バット、シュリヤー・サラン
2022年製作/179分/G/インド
配給:ツイン
公式サイト
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