現代社会に生きる女性のリアル
40代の筆者も、30歳を迎える辺りから周囲の目がガラリと変化したのを感じて女性としての価値が下がった気がしたし、老い方を問われたり、同年代の女性とのライフステージの差異を感じさせられたりする中で、「世代交代」を意識させられたものだ。
だが、どんなに世間が自分を「おばさん」扱いしようとも、筆者自身は「おばさん」になる準備ができていなかったし、クラスチェンジする方法もわからなかった。
いや、それは出産や子育てなのだろうが、多様性を重んじる昨今では、周囲に悩みを吐露しても「あなたの選択を尊重する」と言われるばかり。否定も肯定もされず、決断は自分に委ねられ、ただ焦るばかりだった。
『サブスタンス』は、そんな現代社会を生きる女性のリアルな葛藤を、老いた自分と若い自分のクローンを比喩的に使って表現している。