自分なりの物差しを持つこと

映画『サブスタンス』
(c)The Match Factory

『サブスタンス』でゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞したデミ・ムーアは、受賞コメントで次のように語っている。

「30年前、あるプロデューサーに『あなたは”ポップコーン女優”だ』と言われたことがあります。当時、私はそれを、成功する映画、大金を稼ぐ映画には出られるかもしれないけれど、認められることはない、と解釈し、信じて受け入れてしまいました。それが時を経て私を蝕み、数年前には、もうこれで終わりかもしれない、と思ったほどです。もう十分かもしれない、やるべきことはやったかもしれない、とも」

 30年前といえば、彼女が『素直のままで』を撮っていたとき。40歳を目前に見据えた彼女が、画面の向こうからでもわかるほど、焦りを感じていた頃だ。

 デミ・ムーアは受賞スピーチでこうも伝えている。

「この映画が伝えていると思うことを一つだけお話ししたいと思います。それは、自分が十分に賢くない、十分に綺麗じゃない、十分に痩せていない、十分に成功していない、要するに、十分に足りていない、と感じる瞬間についてです。ある女性が私にこう言いました。『覚えておいて、あなたは決して十分にはなれない。でも、物差しを下せば、自分の価値を知ることができる』と」

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