理解が追いつかない!? 「ジャンプ」の方法とは?
“ジャンプ”するための方法は、「靴を左右入れ替えて履く」「リップスティックを食べる」「紙をカッターのようにして自身の体を傷つける」など、いくつも存在する。
また、「ジャンプ」が行われるたびにエヴリンたちはその都度あたふたするのだが、このシステムのユニークな点は、他の平行世界の人生で身に着けた能力を本来の世界に持ち込めるということである。前述した「カンフーの達人」、はたまた「女優」「レストランのシェフ」など、エヴリンは様々な能力、そして記憶を持つことになるのだ。ただし、極めて独創的な設定に惹きつけられると同時に、あまりに「ジャンプ」するスピードが早すぎて、何がどうなったのかと理解が追いつかない人も多いのではないだろうか。
しかし、ここで強調しておきたいポイントは、エヴリンたちは「マルチバース」へ行っているわけであり、漫画『東京卍リベンジャーズ』に登場する、昨今流行の「タイムリープ」をしているわけではないということだ。タイムリープものの場合、「あの時、こうだったから、それを改善するために過去に戻る」といった形で、その都度、頭の中で時間軸を確認しながら鑑賞することになるのだが、本作はそうする必要はない。
とりあえず、エヴリンの家族関係と、国税庁のおばちゃん(別世界では、まるでゲームのキャラのようにエヴリンに襲い掛かってくる!)の存在だけ把握しておけば、十分に楽しめる。独創的な設定であるため、難解で不親切な映画だと思われがちだが、タイムリープものに比べると時間軸の把握で混乱することはなく、その分、個性的なキャラクターたちの活躍と人間関係の移り変わりをじっくりと堪能できる。