ジョン・ウィリアムズによる荘厳なレクイエム〜音楽の魅力
本作の音楽を手がけるのはジョン・ウィリアムズ。スピルバーグ作品では『スターウォーズ』(1977年)や『未知との遭遇』(1977年)、『E.T.』(1982年)などの音楽を手掛け、これまでにグラミー賞を25回、アカデミー賞を5回受賞している映画音楽界を代表する巨匠である。
「スターウォーズのテーマ」をはじめ、壮大かつキャッチーな音楽で作品を盛り立ててきたウィリアムズ。しかし、本作の音楽は、インパクトある映像を邪魔しない控えめなメロディに抑えられている。とはいえ、音楽として不完全というわけでは決してない。静謐かつ荘厳な音色で作品世界を巧みに表現している。
注目は、エンディングで流れる『Hymn to the Fallen(戦没者への讃歌)』だろう。ひるがえる星条旗と共に、高らかなファンファーレとコーラスが英霊たちへの哀悼を抒情的に奏でる。鑑賞者の心にじっくりと沁み渡る本作のラストにふさわしいレクイエムである。
なお、本作後半の市街戦では、シャンソン歌手であるエディット・ピアフの「Tu es partout」が使われている。深閑とした廃墟の中で突然彼女の明るい曲が流れ出す様子は、なんとも印象的である。
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