マグノリア 音楽の魅力
サウンドトラックには、物語の着想源となったエイミー・マンの楽曲を大々的に使用。終盤では彼女の楽曲『Wise Up』をメインキャストが歌い継ぐ、ミュージカルチックな場面が用意されている。
ちなみにこのシーンでは、エイミー・マンの歌声に合わせて登場人物が“ハモる”ような形で声を合わせる。交わらない複数のストーリーラインが、エイミー・マンの伸びやかな声とメランコリック(憂鬱的)なリリックによって繋ぎ合わされる素晴らしいシーンだ。
このシーン以外にも、一つのメロディーが複数のシーンにまたがって鳴り響く描写が目立つ。直面する事態は違えど、登場人物たちが抱える怒り、悲しみ、不安といったネガティブな感情は共通しており、音楽はそんな彼らの心情に寄り添うように鳴り響くのだ。エイミー・マンの楽曲では、ジムがクラウディアに告白するラストシーンで使用される『Save Me』も印象的である。人を愛することができない苦悩を歌った歌詞は物語に深くリンクしている。
このシーンでは告白するジムの声よりも、背景で流れるエイミーの歌声の方が明らかに強調されており、良くも悪くも違和感がある。「小説を映画化するのと同じコンセプトで彼女の音楽を映画化してみたかった」と語るPTAは、ラストシーンにミュージックビデオ的な演出を施すことによって、本作の「原作者」たるエイミーに最大限の敬意を捧げているのかもしれない。
《主な使用楽曲》
エイミー・マン『Save Me』
スーパートランプ『Goodbye Stranger』
ジョン・ブライオン『Magnloia』