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映画『シング・フォー・ミー、ライル』は面白い? 大泉洋の歌声に注目。忖度なしガチレビュー《あらすじ 考察 解説 評価》

text by ZAKKY

『グレイテスト・ショーマン』と『ラ・ラ・ランド』の音楽スタッフが贈る、ファンタジーミュージカル映画『シング・フォー・ミー、ライル』。日本語吹き替え版には俳優の大泉洋がワニのライル役を務め、その他豪華声優人が脇を固める。本作は面白いのか…?忖度なしガチレビューをお届けする。(文・ZAKKY)

ミュージカル嫌いも楽しめる!?
無茶・無駄のないミュージカル


バーナード・ウェーバーによる絵本シリーズ『ワニのライル』を原作とする、ミュージカル映画である。マジシャンでありショーマンのヘクター(ハビエル・バルデム)は、ニューヨークのあるペットショップに足を踏み入れると、魅惑的な歌声を響かせるワニを見つける。

ワニの名はライル。ヘクターはライルを自身の相棒にするため、アパートで共同生活を始めるのだが、ライルはステージ恐怖症だったため、ショーには不向きであった。そんなライルを置いて、ヘクターはアパートを去ってしまう。

序盤のライルとヘクターが歌と踊りを通じて親睦を深めてゆく様は、とても微笑ましく、胸が踊る。それだけに、ライルを置き去りにして失踪するヘクターに「おい!お前、何やってんだ!」とブーイングを送りたくなる。それは、この映画に引き込まれてしまっていることの証左だろう。

ミュージカルがあまり得意ではない方でも楽しめる作品だ。そもそも、ライルは「歌が上手いワニ」というファンタジックなキャラクターである。普段、歌やダンスを日常的に行っていないであろうキャラクターが、急に歌って踊り出す…といった展開ではないため、観客は不思議と気恥ずかしい気持ちにならない。本作の醍醐味は、ライルが周囲の人間たちを巻き込んでいくプロセスにある。観客もライルの歌=ミュージカルシーンを観ることでキャラクターへの理解を深めていくのだ。

ちなみに、現在もロングラン上映中であるインド発のミュージカル映画『RRR』でも、本作とよく似た手法が見出せる。言うならば、「無茶・無駄のないミュージカル」。「歌わないでいいから、次、行け!」という感情にはならないのである。

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