ファントム・スレッド　【ネタバレあり】あらすじ

別荘に到着したレイノルズは、朝食を摂るためにカフェに足を運ぶと、若いウェイトレスのアルマ（ヴィッキー・クリープス）に一目惚れ。アルマはレイノルズの一風変わったパーソナリティに困惑しながらも惹かれ、ディナーを共にすると、自宅を訪れることに。

レイノルズは「ウェディングドレスを作る人間は結婚ができない」という言い伝えを信じており、一生独身のままでいるつもりだ。アルマはレイノルズが手がけたドレスを身にまとう。その姿を見たレイノルズとシリルは、彼女の優れた才能を見抜き、ジョアンナに代わる住み込みのモデルとして雇うことに決めた。アルマはレイノルズに恋心を抱きはじめるが、レイノルズのほうはアルマを異性として意識しておらず、あくまでモデルとして接するのだった。

そんなある日、レイノルズは常連客の大富豪・バーバラ（ハリエット・サンソム・ハリス）のウェディングドレスを制作することになった。バーバラの結婚式に出席するレイノルズとアルマ。泥酔した花嫁のバーバラは、レイノルズが手がけたドレスを台無しにしてしまう。憤りを隠せないレイノルズ。しかし、レイノルズの作るドレスに強い愛着を持つアルマは本人以上に怒っていた。

レイノルズとアルマはバーバラのいる控え室に乗り込むと、「二度とウッドコック社のドレスに袖を通さないでほしい」と告げ、パーティー会場をあとにする。レイノルズはアルマにキスをするが、「愛している」と告げるアルマに対し、返答することはなかった。

数日後。ウッドコック社にベルギー王室から、王女のウェディングドレスを制作してほしいと依頼が入った。アルマは容姿端麗なベルギー王女に嫉妬心を抱き、レイノルズの気を惹くためにサプライズで夕食を振る舞うことに。しかし、レイノルズはアルマの思いに応えるどころか、シリルが側にいないことに不安を覚え、心ここにあらずといった有り様。結果、2人は激しい口論を繰り広げることに。

次の日。この日はベルギー王女用に作ったドレスが完成する日である。アルマはレイノルズに復讐するために、毒キノコの粉末をレイノルズのティーカップに混入。レイノルズは作業中に倒れ、その拍子に完成したドレスは破損してしまう。

アルマは彼を献身的に介抱。心配したシリルは医者のハーディを呼びつけるも、人嫌いのレイノルズはそれを拒否。レイノルズは枕元で介抱するアルマに亡き母の姿を重ねる。夜が明けると、レイノルズの容態は回復。アルマに感謝を告げると、結婚のプロポーズをする。アルマはレイノルズの思いに応えるのだった。

アルマと結婚したことで、レイノルズの心境には明らかな変化が生じる。アルマが他の男性と親しく接するのを見ると嫉妬し、「ダンスパーティーに行きたい」と言う提案に反対をする。アルマはレイノルズの反対を押し切り、1人でダンスパーティーに参加するが、追いかけて来たレイノルズに連れ戻されてしまう。

アルマによって心をかき乱されっぱなしのレイノルズは、以前のようなペースで仕事ができなくなっており、シリルに離婚の相談をする。しかし、シリルはアルマの存在を認めており、レイノルズに離婚をとどまるように助言。一連の騒動を受け、アルマはレイノルズに毒キノコ入りのオムレツを差し出す。レイノルズはすべてを理解しているのか、彼女の前で毒入りのオムレツを平らげ、「倒れる前にキスをしてくれ」と言い、2人は熱く抱きしめ合う。

医者のハーディが見守る中、アルマは膝でレイノルズの頭を受け止め、将来の夢を語る。レイノルズとの間に子供を作り、ドレスの管理に関わりたいと話すアルマ。「腹が減ってきた」と呟くレイノルズの頭を我が子を愛でるようにそっと撫でるのだった。