『アベンジャーズ』のトキメキが蘇るクライマックスに注目
瀕死の重傷を負ったロケットの命を救うためにガーディアンズの面々が奮闘するのだが、その合間にロケットの誕生ストーリーが挿入される。まだ幼いベイビー・ロケットの愛らしさはもちろん、そこで出てくる新たな動物キャラたちは哀愁をあざといほどに漂わせ、いつのまにか動物愛護というテーマまで自然に盛り込んでくる。
今回のヴィランはハイ・エボリューショナリーという狂気の科学者なのだが、ロケットに対するフランケンシュタイン・コンプレックス※まで滲ませて、GotGシリーズの核心である家族・親子といったテーマにも絡ませる。
※人間が、ロボットや人工知能などの被造物に対して抱く、憧れと恐れが入り混じった複雑な感情のこと。
もちろん、大作映画らしいサービスもたっぷり。クライマックスで展開する集団戦アクションは、まさにまばたき禁止。メンバーが、それぞれのキャラに準じた武器と動きを駆使して敵を倒しまくる姿を、めくるめくワンカットで繋いでいく。かつて「アベンジャーズ」で感じたトキメキが蘇ったようで、古き良きMCUの魂をみせてくれる。
ビジュアルも秀逸で、S らしいセンスに満ちながらも、あえて「SFX」と言いたくなるアナログな手触りを残したセットやメイクが愉しい。ヒーローものの定番、横一列になって歩く“スローモーション・ウォーク”は、コスりすぎくらいに出てくるが、どんな状況でもシビれる。
ファンとしては、いつまでもこの続きを見てみたくなるが、このキャストによるGotGシリーズはこれが最終作とアナウンスされているし、なによりもジェームズ・ガンはDCエクステンデッド・ユニバースのトップとして迎え入れられている。だからこそ、映画館でそのフィナーレを見届ける価値がある。「待望」にも「ようやく」にも、きっちり応える、堂々の完結編であることは間違いない。
(文・灸 怜太)
【作品情報】
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』
■監督:ジェームズ・ガン
■製作:ケヴィン・ファイギ
■出演:クリス・プラット/ブラッドリー・クーパー/ヴィン・ディーゼル/ゾーイ・サ
ルダナ/カレン・ギラン/デイヴ・バウティスタ/ポム・クレメンティエフ 他
■配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©Marvel Studios 2023
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