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濱口竜介、三宅唱らのコメントが到着。「ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ リプリーズ」予告編&コメント解禁

text by 編集部

現代映画に多大な影響を与え「インディペンデント映画の父」と称された映画作家、ジョン・カサヴェテス。自らも俳優として活動し、得たお金で「自分の撮りたいものを撮る」という信念のもとに名作を生み出してきた。今回の特集では、彼の代表作6本を上映する。上映に先駆け、カサヴェテス作品を愛する著名人の推薦コメントと予告編を解禁する。

ジョン・カサヴェテス監督珠玉の6作品を公開

ハリウッドの商業主義に対抗し、妻であり女優と監督でもある最良のパートナー、女優ジーナ・ローランズや信頼できる仲間たちと「自分の撮りたいものを撮る」という信念のもと映画を製作し、インディペンテント映画の可能性を知らしめたジョン・カサヴェテス。

上映権の再取得が叶ったことで実現した今回のレトロスペクティヴは、59歳で逝去したカサヴェテスが残した監督作品11本の中から、代表作6本を上映。

【予告編】

【ジョン・カサヴェテス】

ジョンカサヴェテスc1974 Faces International FilmsInc

1929年12月9日、アメリカのニューヨークで生まれる。妻は女優のジーナ・ローランズで、長男のニック・カサヴェテスと次女のゾエ・カサヴェテスは映画監督として活躍。

テレビや映画で俳優としてのキャリアを積んだ後、出演したラジオ番組中の呼びかけで集まった資金を元手に製作した『アメリカの影』(1959)で監督デビュー。
1968年、第2作の『フェイシズ』でアカデミー賞3部門(脚本賞、助演男優賞、助演女優賞)にノミネート。
1974年の『こわれゆく女』ではジーナ・ローランズがゴールデングローブ賞最優秀女優賞(ドラマ)受賞、アカデミー賞主演女優賞、監督賞にノミネートされる。
1977年の『オープニング・ナイト』ではベルリン国際映画祭でジーナ・ローランズが主演女優賞に輝き、1984年の『ラヴ・ストリームス』では同映画祭で金熊賞を受賞している。

自らが俳優として得たギャラを製作費として注ぎ込みながら、素人とプロの俳優を共演させるなど、大手スタジオの介入がない自主製作による映画作りを信念とし、独自の映画世界を切り開いた。

“インディペンデント映画の父”と呼ばれ、後世の映画監督たちに大きな影響を与えると存在になる。1989年2月3日、肝硬変のためロサンゼルスの病院にて59歳で他界。

推薦コメント

濱口竜介(映画監督)

ジョン・カサヴェテスの映画を見てしまった人生と、見なかった人生。幸福なのはどちらか、わからない。しかし見たことを後悔した日は1日たりともない。

三宅唱(映画監督)

カサヴェテスの映画をみるといつも高熱のような強い感情に浮かされます。できるならそれを書きたいけれど言葉が追いつかない。だからもう一度見たくなるしうっかり自分でも映画を作りたくなってしまう。『オープニングナイト』の終盤は毎回初めてのようにビックリし続けています。

石橋英子(音楽家)

“孤独な夜を知ってる?”カサヴェテスの問い。できれば避けて通りたい事がクローズアップされ、その破れ目が映画そのものを呑み込む。 他者は自分の幻影、また自分自身も他者の幻影、そこから抜け出す為にはボコボコにし合うしかないのか。『オープニング・ナイト』を観てうんざりした幻影まみれの10代の夏。今はどうか。そんな夜なんて知らない、という出発点すら曖昧だ。

上映作品

『アメリカの影』 SHADOWS

アメリカの影c1958 Gena Enterprises

マンハッタンに暮らす若者たちのありのままの姿を描いた、カサヴェテスのデビュー作にして、後の映像作家たちに大きな影響を与えたインディペンデント映画の金字塔。
シナリオなしの即興演出で、俳優たちの揺れ動く感情を見事に捉え、映画の新たな方向性を確立した。大のジャズ好きだったカサヴェテスが依頼したチャールズ・ミンガスの即興演奏もスタイリッシュで魅力的。

1959年/アメリカ/82分/モノクロ/スタンダード
監督:ジョン・カサヴェテス 音楽:チャールズ・ミンガス 出演:ベン・カラザース、レリア・ゴルドーニ、ヒュー・ハード

『フェイシズ』 FACES

フェイシズc1968 JOHN CASSAVETES

関係の破綻した中流アメリカ人夫婦の36時間を描く。男女の愛の葛藤を描いたカサヴェテス一連の作品の原点。

自宅を抵当に入れて撮影した監督第2作。アカデミー賞3部門(脚本賞、助演男優賞、助演女優賞)にノミネートという成果を挙げ、ハリウッドにその存在を認知させた革命的傑作。ヴェネチア国際映画祭で最優秀主演男優賞を受賞。

1968年/アメリカ/130分/モノクロ/ヴィスタ
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス 撮影・編集:アル・ルーバン 出演:ジョン・マーレイ、ジーナ・ローランズ、シーモア・カッセル

『こわれゆく女』 A WOMAN UNDER THE INFLUENCE

こわれゆく女c1974 Faces International FilmsInc

精神のバランスを崩した妻と、土木工事の現場監督を務める夫。壊れかけそうな家庭を繋ぎとめようとする夫婦愛を描いたカサヴェテスの代表作の一つ。脚本はジーナ・ローランズ主演の戯曲として執筆。

ゴールデングローブ賞最優秀女優賞(ドラマ)受賞。アカデミー賞主演女優賞、監督賞ノミネート。

1974年/アメリカ/147分/カラー/ヴィスタ
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス 製作:サム・ショウ 音楽:ボー・ハーウッド 出演:ジーナ・ローランズ、ピーター・フォーク、マシュー・カッセル

『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』 THE KILLING OF A CHINESE BOOKIE

チャイニーズブッキーを殺した男c1976 Faces Distribution Corporation

暗黒街のマフィア、ストリッパー、ナイトクラブ、犯罪。フィルム・ノワール的なテーマを持つカサヴェテス作品の中でも特異な1本。

カサヴェテス映画の要の役者であり、公私ともに盟友のベン・ギャザラが、巨額の借金を背負いこみ事件に巻き込まれていく場末のクラブのオーナー、コズモを見事に演じ、圧倒的な存在感を示す。

1976 年/アメリカ/135 分/カラー/ヴィスタ
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス 製作:アル・ルーバン 撮影:フレデリック・エルムス 出演:ベン・ギャザラ、ミード・ロバーツ、ティモシー・アゴリア・ケリー

『オープニング・ナイト』 OPENING NIGHT

オープニングナイトc1977 Faces Distribution Corporation

一人の有名舞台女優を通して、人が“老い”を自覚し始めた時に感じる焦燥や不安を描いた作品。ベルリン国際映画祭で銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞したジーナ・ローランズの演技は必見。カサヴェテス作品の中で本作が唯一「夫婦役」として共演している。

1977 年/アメリカ/144 分/カラー/ヴィスタ
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス 撮影・製作:アル・ルーバン 音楽:ボー・ハーウッド 出演:ジーナ・ローランズ、ジョン・カサヴェテス、ベン・ギャザラ

『ラヴ・ストリームス』 LOVE STREAMS

ラヴストリームスc MCMLXXXIV Cannon Films Inc

他人を愛することに不器用ながらも、愛や孤独をテーマにした小説を書く弟と、その深い愛ゆえに狂気に陥っていく姉の内面の荒廃を描く。「愛、孤独、家族」を主題にしたカサヴェテス映画の集大成ともいうべき傑作。ベルリン国際映画祭金熊賞受賞。

1984 年/アメリカ/141 分/カラー/ヴィスタ
監督・脚本:ジョン・カサヴェテス 原作・共同脚本:テッド・アレン 撮影・製作総指揮:アル・ルーバン 音楽:ボー・ハーウッド
出演:ジーナ・ローランズ、ジョン・カサヴェテス、ダイアン・アボット、シーモア・カッセル

「ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ リプリーズ」
6/24(土)より、渋谷シアター・イメージフォーラム ほか全国順次ロードショー!

「ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ リプリーズ」は6月24日(土)から渋谷のシアター・イメージフォーラムにて開催、順次全国の劇場で開催される。
また、シアター・イメージフォーラムでの6月24日(土)から7月21日(金)までの上映スケジュールも決定した。
公式サイト

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