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女性の心にぶっ刺さる…。憎しみ合う母と娘を描いた韓国映画『同じ下着を着るふたりの女』は面白い? 忖度なしガチレビュー

text by 柴田悠

第26回釜山国際映画祭で女優賞や観客賞を含む5冠を受賞した映画『同じ下着を着る二人の女』が公開中だ。メガホンをとったのは気鋭の女性監督、キム・セイン。今回は、「毒親」や「親ガチャ」といったワードがたびたび取り沙汰される日本でも話題を呼ぶこと必至の本作のレビューをお届けする。【あらすじ キャスト 解説 考察 評価】

子は親を選べないし、親も子を選べない…。
愛憎入り乱れた親子関係を鮮烈に描く

こんな話からはじめよう。『シートン動物誌』で知られる博物学者アーネスト・トンプソン・シートンは、極端に厳格な父親から出産費用から養育費まで領収書を見せられ、支払いをせがまれた。彼は、何年もかかってお金を返済し、返し終わった後で絶縁したという。

本来、親から子への愛というのは、いつの時代も“無償の愛”が理想である。しかし、現実にはそうはいかない。

近年、日本でも過干渉や暴力・暴言によって子どもを思い通りに支配しようとする「毒親」や、子どもが親を選べない状況を示す「親ガチャ」などの言葉が社会問題となっているが、世界中に数多いる親の中には、息子娘が自分を搾取していると感じる親もいるようだ。

本作『同じ下着を着るふたりの女』は、そんな問題を扱った物語である。

舞台は韓国のとある都市。若くしてシングルマザーになったスギョンと、30歳を目前に控えた娘イジョンは、団地で暮らしている。幼い頃からイジョンにつらく当たっていたスギョン。イジョンは、そんな母に積年の恨みを隠しきれずにいた。

ある日、スーパーの駐車場でいつものようにケンカになり、車から飛び出したイジョン。母スギョンは、フロントガラス越しに捨て台詞を吐いたイジョンを反射的に轢き飛ばしてしまう。

スギョンは「車が突然発進した」と警察に説明するが、イジョンは故意の事故であることを疑わず、裁判沙汰に発展。そんな中、イジョンは、新入社員のスヒの気遣いに触れ、彼女に癒しを求めはじめる。

また、スギョンもかねてから付き合っていた恋人と再婚し、幸せへの道を歩み始める。

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