作品に反映されたホッパーの破天荒な生き様〜演技の魅力
本作の注目といえば、なんといっても監督のデニス・ホッパーだろう。映画監督や俳優のみならず、写真家やアートコレクターとして、さまざまな顔を使い分けていたホッパー。圧倒的な才能を持ちながらも、酒と麻薬に溺れ、ときにハリウッドから干されてしまう。本作には、そんな彼の破天荒で危うい生き様がそのまま表れている。
また、W主演を務めたピーター・フォンダにも注目。ハリウッドを代表する俳優ヘンリー・フォンダを父に持つ彼は、本作では自由を謳歌しながらも育ちの良さを感じさせる品のある演技を披露している。あまりにも偉大な父の影から逃れるために、本作への出演を決めたという彼。本作が出世作となり、その後は自身の監督作『ダーティ・メリー・クレイジー・ラリー』(1974 年)や、ジョナサン・デミ監督の『怒りの山河』(1976年)などの娯楽作に立て続けに出演することになる。
そして、くせ者の弁護士ハンセン役を演じるジャック・ニコルソンの存在も欠かせない。本作でアカデミー賞助演男優賞の候補となったジャック・ニコルソンは、翌年『ファイブ・イージー・ピーセス』で主演を務める。その後は『シャイニング』などに出演し、ハリウッドを代表する名優に名を連ねている。ホッパーとフォンダ、そしてニコルソン…。のちに時代の寵児となる3人が、本作から巣立っていったのである。
ロードムービーである本作において、登場人物と同じくらいに存在感を放っているのが、彼らが乗りこなすチョッパーバイクだろう。撮影で使用された1965年型のハーレー・ダビッドソンは、映画公開から45年経った2014年にオークションに出品され、135万ドル(約1億7,600万円)で落札され話題を呼んだのは記憶に新しい。