作品を彩る70年代ロック〜音楽の魅力
本作は、ロードムービーであると同時に、70年代のヒット曲が散りばめられた「音楽映画」でもある。しかも歌っているのはザ・バンドやジミ・ヘンドリックス、ザ・バーズ、ステッペン・ウルフ、ロジャー・マッギンなど、70年代のUSロックを代表する大物たちばかり。なんとも贅沢である。
特に有名なのは、ステッペン・ウルフによるオープニングテーマ『Born to Be Wild(ワイルドでいこう)』だろう。ハードロックの嚆矢としても知られる本曲は、本作をきっかけに若者の心を掴み、当時のビート・ジェネレーションを象徴する一曲となった。
本作で選ばれた曲は、『Born to Be Wild』に限らず、まるでこの映画のために作られたかと思うほどに作品にピッタリはまっているのも特徴である。
例えばヒッピーたちの自由への渇望をテーマとした『Wasn’t Born to Follow』では、「僕は誰かに従うために生まれてきたんじゃない」という歌詞が何度も登場し、本作のコンセプトを体現している。
また、エンディングテーマには、当初ボブ・ディランの『It’s Alright, Ma』が使われる予定だったが、権利の関係で叶わず、代わりにザ・バーズのメンバーであるロジャー・マッギンが書き下ろした『Ballad of Easy Rider(イージー・ライダーのバラード)』が使われることに。フォンダによれば、この曲もディランが書いたものの、ディランは本作のエンディングを気に入っておらず、名前をクレジットから外すように依頼したのだという。
なお、本作では、既成の音楽に合わせて映像をカッティングするという手法が用いられている。今では当たり前なものとなってしまったこの手法も、当時は極めて斬新な表現だったことを最後に付け加えておきたい。
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