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カオスな展開が最高! 映画『スパイダーバース2』、斬新すぎるマルチバースの映像表現とは?物語と珠玉の音楽を徹底考察&解説

text by 島 晃一

『スパイダーマン』シリーズ最新作、映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』が公開中だ。シリーズ史上類を見ないほど過激で見どころに富んだ本作。今回は、物語、映像、音楽の3点に着目し、レビューをお届けする。(文・島 晃一)【あらすじキャスト 解説 考察 評価】

一つの画面に異なる作風の絵が共存
画期的なマルチバースの表現方法に注目

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前作の『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018年)は、『スパイダーマン』の映画としては初となるアニメ作品だった。第91回アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞、トム・ホランドが「これまで製作されてきた中で最高のスパイダーマン映画」と述べるなど、多方面から賞賛された。

同作は、アフリカ系とヒスパニックのハーフという複合的な背景を持つマイルス・モラレス(シェメイク・ムーア)を主人公としただけでなく、実写のマーベル作品に先んじて、マルチバースを本格的に描いたことも話題になった。

マルチバースは多元宇宙と訳される。ユニ(=一つの)バースは宇宙を意味する言葉だが、マルチ(=多数の)バースは、私たちが生きる宇宙とは別に、可能性の数だけ異なる宇宙、異なる世界が存在するという考え方だ。

劇中では、それぞれの宇宙ごとにスパイダーマンがいるとされる。女性のスパイダー・グウェン(ヘイリー・スタインフェルド)や、カートゥーンの世界からきた子豚型のスパイダーハム(ジョン・ムレイニー)など、別次元のスパイダーマンたちが共に戦った。

画期的だったのは、マルチバースを映画で表現するために、何種類もの絵柄でスパイダーマンを書き分けたことだ。3DCGアニメーションがコミックのように見える手法を使っただけでなく、一つの画面に異なる作風の絵が共存しているのには驚いた。

質感の異なる絵が何層にも塗り重なっているようにも思われ、マイルスが興じるグラフィティも想起した。

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