主要スタッフは『マーヴェリック』と共通
CG全盛の時代において「映画のアクション」を探求
このAIを巡るストーリー含め、本作は、これまでのシリーズだけでなく、同じくトム・クルーズ主演で記録的なヒットを記録した『トップガン マーヴェリック』(2022年)とも多くのつながりを見出すことができる。
再びスタッフ、キャストについて見ると、監督・脚本のマッカリーは、『マーヴェリック』の脚本陣の一人だった。編集のエディ・ハミルトンは、同作でアカデミー賞を含めたさまざまな賞にノミネートされた。音楽のローン・バルフは、『マーヴェリック』でスコアプロデューサーとしてクレジットされている。
『マーヴェリック』との共通点はキャスティングにも見出せる。
同作で”ウォーロック”を演じていたチャールズ・パーネルがNRO役を、”コヨーテ”役だったグレッグ・ターザン・デイヴィスがこの映画ではドガをそれぞれ演じている。『マーヴェリック』では、彼らの目線と観客の目線が同化するようなショットが随所に挟まれていた。登場人物たちが、マーヴェリック=トム・クルーズの行動に驚き、見守る様は、まるで映画に魅入られた観客のようだった。この映画では、ドガはイーサンを執拗に追いかける組織の一人ではあるが、イーサン=トムの行動を見届けているようにも見えてくる。
こうしたメタな視点は、戦闘機パイロットが不要になり無人機の時代になると説く上官に対して、マーヴェリック=トムが「But not today」と返すところで決定的となる。いずれ来るかもしれないが、今日ではないというパイロットの矜持を示したこの台詞は、CG全盛の時代においてアクションとは、俳優とは、そして映画とは何か? という問いに置き換えることが可能だった。そして実際に戦闘機で何百時間もの撮影をした作品自体が、そうした問いへの一つの解答だと解釈できた。