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宮崎駿の原点であるアルミ弁当
サツキの弁当に見る創造の根源

『となりのトトロ』(1988)サツキの手作り弁当

© 1988 Studio Ghibli
© 1988 Studio Ghibli

【作品内容】

舞台は昭和30年代の日本。入院中の母のために考古学者の父と、娘で小学六年生のサツキと4歳のメイは空気の澄んだ田舎に引っ越してくる。新居には、マックロクロスケと言われる煤の塊のような生き物が出現するなど、どこか奇妙な雰囲気だ。他にも狸のような不思議な生き物・トトロにも遭遇する。姉妹はトトロやネコバスなど奇妙な生物、地元住民などと大自然の中で交流していく。

【注目ポイント】

ジブリ飯の代表といっても過言ではない、サツキの手作り弁当。作中、寝坊した父に代わり、サツキが3人分の弁当を作るというものだ。アルミの弁当箱にご飯がぎっしり敷き詰められ、上には梅干し、魚(メザシ)、桜でんぶ、豆が乗っている。ちなみに、桜でんぶとは三色弁当やちらしずしなどに乗っているピンク色の食材で、タイやタラといった白身魚の佃煮だ。

このシーンからはサツキのしっかり者ぶりが垣間見れる。また、寝坊した父を起こすでもなく、みずから弁当を準備するというサツキの思いやりの深さも感じられ、その後メイの必死を捜索するシーンなど、家族のために起こすアクションに説得力をもたらすことに寄与している。

宮崎駿の盟友にして、ジブリのプロデューサーでもある鈴木敏夫は、2002年の糸井重里との対談にて、宮崎監督は25年間(当時)、毎日妻の手作り弁当を持参し、それを昼、夜と分けて食べていると語っている。

そんな宮崎が持参するアルミの弁当箱の中身は、ご飯がぎゅうぎゅうに詰まっていて、おかずは卵焼きやたくあん、ソーセージ、ハムや揚げ物。奥さんが不在のときも、自分で同様の弁当を作るというこだわりには驚きだが、まさにその弁当の見た目や質素ぶりはサツキの作る弁当のようだ。

鈴木は同対談で「実はそれが彼の発想の原点なんじゃないか、と思うんですよ」とも語る。サツキの弁当は宮崎駿という稀代のクリエーターの内面もあらわしているのかもしれない。

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