テンプレ展開をテンポよくみせる演出に注目
今作の舞台設定は1994年。2007年に公開された第1作『トランスフォーマー』よりも前の時代を描いており、いつのまにかプリクエル(前日譚 )が始まっていたことになる。
ニューヨーク・ブルックリンに住む青年ノア・ディアスは、ひょんなことからクルマに擬態する“オートボット”のミラージュと出会う。そして例のごとく異星人たちの宇宙規模の争いに巻き込まれていくのだが、この、何も知らない人間が“闘う超生命体”であるトランスフォーマーと出会い、驚きつつも友情を育み、他の人間たちにバレないように四苦八苦するというくだりは、シリーズ全鑑賞勢からすれば何度も観ている展開。
『スパイダーマン』も、リブートするたびに、ピーターがクモに噛まれて、大事な人が死ぬところを何度も観させられるが、このあたりは長大なシリーズ特有のジレンマで、初見の観客とマニアのバランスを取るのが難しいところだ。
その後も、狡猾で強大な敵キャラクターの襲撃、地球の古代文明との関わり、イイ声で頑固なオプティマス・プライム、はぐれ異星人として寂しさを醸し出すオートボットたちなど、『トランスフォーマー』シリーズならではのテンプレが続くが、今作から監督に抜擢されたスティーブン・ケイプル・ジュニアは、このような要素をストレートにテンポよくまとめていく。