収拾がつかなくなっていた物語
2007年の『トランスフォーマー』第1作目は、それまでに観たことのなかったような脅威の変形CGや派手なロボットアクションに加えて、マイケル・ベイ監督の剛腕演出、そして製作を務めたスティーブン・スピルバーグらしい青春ドラマやアドベンチャー要素が絶妙に入り混じり、SFロボットアクションの醍醐味が詰まった快作だった。
私見では、マイケル・ベイは、世界一カッコ良くクルマを撮れる監督である。そのこだわりがカーアクション映画としての側面も持つ本シリーズににフィット。派手な彩色のトラックを中心に、ラグジュアリーなスポーツカーや実用車など、趣味も方向性もバラバラなクルマたちが荒野を並んで爆走するシーンがもたらす高揚感は、このシリーズならではのハイライトだった。
しかし、マイケル・ベイはシリーズを追うごとに、彼のもう一つの趣味であるミリタリー・フェチ傾向を強めていく。第二作『トランスフォーマー/リベンジ』あたりから、軍事アクションとしての側面がクローズアップされていくのだ。そして地球の歴史と絡める都市伝説的な設定が膨らみすぎたあまりスケールが大きくなりすぎた結果、物語の収拾がつかなくなってしまった。