長年苦しめられた自分の過去と向き合うことで名作足りえた
続編『トップガン マーベリック』
映画『トップガン マーベリック』では、マーベリックの友人グースの死に対する大きな罪悪感から、海軍で出世することもなく、前作で恋に落ちた女性教官チャーリーとの関係を維持することもなく、私生活も仕事もあまり上手くいっていないことが明らかにされている。
もしも前作、映画『トップガン』で、前述した内容のように主人公のマーベリックが友人グースの墓を訪れるシーンで、その幕を閉じていた場合、続編の『トップガン マーベリック』のストーリー内容に真実味が帯びずに違和感を感じてしまう内容になっていたはずだ。
このシーンは、グースの墓を訪れて、過去の後悔や罪悪感を捨て、自分に与えられた役割を再認識する場面となっていたと言える。もしその想いに区切りを付けることができていたのなら、36年たっても昇進せず、パイロットとして空を飛んではいないはず。既に現場でのトップとして活躍する“大佐”から、少将へと昇進する道を選び、現場の指導や管理を行っていたかもしれない。
つまり、映画『トップガン マーベリック』の筋書きが上手くハマっているのは、主人公マーベリックがグースの早すぎる死に長い期間、苦しめられていたからにほかならないのだ。
マーベリックは本作でルースターと遭遇し、自分の過去と向き合う必要が出る。自分自身の過去と向き合うことを恐れていたマーベリックは、ルースターの海軍学校への願書を破棄していたため、ルースターは4年遅れて学校へ入学したことを恨んでいる、というこじれた険悪な状態から2人の関係性は始まる。この2人の拗れた関係が本作をさらにストーリーはより緊張感を持ち、観客の興味を惹きつけるものとなった。
『トップガン マーベリック』でのマーベリックは、パイロットとしての実力はほぼ完璧と言ってもいい存在だ。過去に苦悩したり、人間関係のもつれなどの要素がなかったら、物語が単調になってしまうだろう。前作のカットシーンが使用されていたら本作が駄作となっていたというのも頷ける話だ。
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