デジタルに慣れすぎた自分が怖くなる映画
筆者は「『Wi-Fiをはじめとした電波が完全に遮断された世界』に恐怖を感じる自分」に対し、自分はいつごろからWebの情報にこれだけ頼るようになったのだろうと我が身を思い知らされた。「情報の遮断」というテーマが描かれる点など、まさに2020年代ならではの作品である。
現代において『終わらない週末』のような状況がきたら、自分で考えて行動できるだろうか。実際、2023年にはロシア・ウクライナの戦争があり、「第三次世界大戦」というワードが多くの人の頭をよぎる年となった。
「そんなことあるわけねぇだろ」と悠長に思いつつ、いざ日本が戦争に巻き込まれ、サイバーテロが起きたとき、普段、ネットの情報を受動的に眺めている我々は、しっかり自分の判断で行動できるのだろうか。
この映画はデジタルに慣れ過ぎた現代人に、今後起こり得るかもしれない怖い未来を見せることで、警鐘を鳴らす。一方、ディストピアな描写と対比させるように「人間同士のオフラインでのつながりの大切さ」が、きちんと描かれている点もきわめて魅力的だと付言しておこう。
そしてラストで映るのは、名作ドラマ『フレンズ』(1994年)。今作を見終わった後に、最近SNSでしか交流していなかった友人を誘って、一緒にごはんを食べてみるのもいいかもしれない。
(文・ジュウ・ショ)
【作品情報】
監督:サム・エスメイル
脚本:サム・エスメイル
原作:ルマーン・アラム
出演者:ジュリア・ロバーツ、マハーシャラ・アリ、イーサン・ホーク、マイハラ・ヘロルド、ケヴィン・ベーコン、ファラ・マッケンジー、チャールズ・エヴァンス