なぜDCエクステンデッド・ユニバースは終わるのか? 支配者の本当の目的は? 映画『アクアマン 失われた王国』考察&評価
text by ニャンコ
映画『ワイルド・スピード』シリーズのジェームズ・ワン監督とジェイソン・モモアが再タッグを組んだ、DCEU最後の映画『アクアマン/失われた王国』が公開中だ。今回は、映画の魅力とともに、なぜDCEUはMCUになり得なかったのかを考察しながら紐解いていく。(文・ニャンコ)<あらすじ キャスト 考察 解説 評価 レビュー>
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失われた王国ネクラス、支配者コルダックスの目的
本作に登場する失われた王国ネクラスとは、アトランティス7つの王国の1つでありながら、危険な思想により滅んでしまった呪われた王国のことである。
別名「黒い都市」と呼ばれており、その名前の由来は王であるコルダックスが黒魔術に精通していたことからきている。世界を全て支配したいコルダックスは黒魔術を使ってブラック・トライデントとアンデッド集団を作り上げ、アトランティスへ反逆を翻した。
そのため、コルダックスの兄であるアトラン王によって、ネクラスとコルダックスは南極の氷河の中に封印されてしまったのである。
しかし地球温暖化が進み、南極の氷河が割れてしまったことでネクラスへの道が一部開いてしまい、そこにアクアマンへ強烈な恨みを持っているブラックマンタが現れ、コルダックスに導かれるままブラック・トライデントを拾ってしまったことから物語が始まる。
ブラックマンタはブラック・トライデントを通じてコルダックスに操られており、多くの古代知識を得て、古代兵器を復活させることに成功するが、その目的とはネクラスへの道を完全に開き、コルダックスの封印を解くためである。
そしてブラックマンタは、南極の氷を溶かすために地球温暖化を加速させる必要があり、そのためにオリハルクムをアトランティスの保管庫から盗み出すのだ。
以上のことから、ブラックマンタは現代社会におけるテロリストとしての側面を持っており、対して立ち向かうアクアマンやオームは国際社会としての側面を持っている。
本作の世界観に地球温暖化が絡んでいることからも、本作が環境問題をテーマにしていることは間違いない。むしろこのような時代だからこそ、地球温暖化を中心とした環境問題をテーマとし、観客に訴えかけているのだろう。