主演・上白石萌音と松村北斗との作品愛
―――キャストは松村北斗さんと上白石萌音さんに決まっていたのですか?
「僕がオファーを受けた時点で、瀬尾まいこさんの小説の大ファンでもある上白石萌音さんを主演に考えている企画です、とプロデューサーから提案がありました。その後に、山添くん役に松村北斗さんはどうだろうという提案がありました」
―――撮影前にお二人とコミュニケーションを取られていたそうですが、実際に一緒に仕事をして、どういう印象を持たれましたか?
「上白石萌音さんのことは、彼女の映画デビュー作『舞妓はレディ』(2014年/周防正行監督)が好きでしたし、朝ドラ、ミュージカルなど、本当に経験豊かな俳優で、作品への愛も深く、丁寧に仕事をするプロフェッショナリズムが強い方だと思います。
小説から映画への変更点についても、時間をかけてお話しできました。自分がどういう考えを持ってこの作品に望んでいるのか、どういう映画にしたいのか。最初は手紙に書いて……確か10枚くらい書いたと思います。それを読んでいただいた上で、お会いして話して、さらに脚本をブラッシュアップできました」
―――上白石さん、藤沢さん役にピッタリでしたね。
「撮影を通して、上白石さんは本当に芝居が好きなんだというのがすごく伝わってきました。それは演技に悩んだり苦しんだりする時間も含めて。もっとこうしたい、これはどうだろうという話し合いの中でも、この仕事を心底楽しんでいるのが伝わってきました。年齢も立場も違うけど、一緒に映画作りを楽しめる俳優と組めたことは幸運でした」