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ダークナイト 演出の寸評

『ダークナイト』の現場で演出中のクリストファー・ノーラン
ダークナイトの現場で演出中のクリストファーノーランGetty Images

バットマン関連作品の中でも群を抜く人気を誇る本作は、第81回アカデミー賞において助演男優賞と音響編集賞の二冠を達成。当時のアメリカでは、作品賞にノミネートされていなかったことで抗議の声が上がった。

本作を撮り上げる以前、監督のクリストファー・ノーランは『フォローウィング』(1998)や『メメント』(2000)など、パズルのような構成を持つ難解な作品を手掛けてきたが、本作では持ち前の資質に加え、単純明快なアクション演出にも冴えた技量を発揮している。

バットマンとジョーカーがカーチェイスを繰り広げる場面では、ビルの谷間を滑空するヘリコプターもアクションに絡み、シーン全体が立体的な印象に。看護婦に扮したジョーカーが病院に仕掛けた爆弾を次々と破裂させていく過程は、息の長いカットを駆使することで、並々ならぬ臨場感を作り出している。90年代を代表するアクション映画である『ヒート』を参考にしたというアクションシーンは上出来だ。

惜しむらくは、敵役であるジョーカーのキャラクターやアクションのインパクトが強すぎて、主役であるバットマンの活躍が霞んでしまっていること。どんなに挑発され、痛めつけられても、忍耐強く耐えるのがバットマンの身上である。とはいえ、彼のキャラクターが強く打ち出される見せ場がもう1つでもあれば、より一層スケールの大きい作品になったかもしれない。

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