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「ヒロインが自分で行動を起こすところを撮りたかった」映画『アンダー・ユア・ベッド』SABU監督インタビュー

text by 山田剛志

『蟹工船』(09)や『うさぎドロップ』(11)で知られるSABU監督が初めて韓国で撮った映画『アンダー・ユア・ベッド』が5月31日(金)より公開される。原作は人気ホラー作家・大石圭が2001年に発表した同名小説。公開にあたり、SABU監督にインタビューを敢行。作品にかける思いを伺った。(取材・文:山田剛志)

「これは絶対に撮りたいと思っていた」
初挑戦となった韓国での映画撮影

写真:武馬玲子
写真武馬玲子

―――主要キャスト3名のキャスティングの経緯からお伺いできますでしょうか?

「主人公・ジフンを演じたイ・ジフンは、企画段階から興味を持ってくれていて、オンラインで面接をして出演してもらうことにしました。イ・ユヌさんと初めて会ったのは現地で行ったオーディションでした。彼女はアーティストとしても活動していて、歌がとても上手なんです。声のトーンがハスキーで凄く独特で良いなと思い、決めました。

ヒョンオを演じたシン・スハンもオーディションに参加してくれた俳優の一人。元々の脚本は原作に合わせて、ヒョンオの役はもっと年配だったんです。でも、シン・スハンのイメージに合わせて脚本を変えました」

―――本作は大石圭さんによる同名小説が原作ですが、こちらの作品は2019年に日本で映画化されています。2019年の日本版に比べても、DVシーンや性描写をダイレクトに描いているという点に目を引かれました。今回、国籍の異なる役者さんたちと、どのようにしてイメージの共有を図られましたか?

「今回の作品では多くのシーンで画コンテを描いて、事前にスタッフ・キャストに見てもらうことでイメージの共有を図りました。今回の場合は周囲とコミュニケーションをとるにしても言葉が通じませんから。日本で映画を撮る時よりも画コンテが重要な役割を果たしてくれました」

―――今回の作品、単にフォトジェニックであるだけではなく、作品のコンセプトに沿ったロケーションが選ばれていると思いました。東京は世界一ロケ撮影がしにくい街として有名ですが、韓国での撮影はいかがでしたか?

「ロケ地となった仁川という街は再開発が盛んな街ですが、撮影許可が通りやすかったです。興味深いと思ったのは、韓国は撮影が長時間に及ばないよう現場の労働環境を良くしていこうという意識が凄く高くて、それ自体はもちろんとても良いことなのですが、一方で抜けがいいところもあって。

例えば、こんなところでドローンを飛ばしていいのかな?というところで、ガンガン飛ばす(笑)。そこも良かったですね」

―――SABU監督は韓国映画がお好きとのことですが、実際に韓国でロケされて、高ぶるものがあったのではないでしょうか?

「そうですね。後半に登場する電線が入り組んだ風景などは面白かったですね。日本にももちろん電線はあるけど、韓国は凄いんですよ、『こんなに要らんやろ!』と心の中でツッコミを入れてしまうくらい沢山の線がぶら下がっていて。これは絶対に撮りたいと思っていたので、(撮ることができて)嬉しかったですね」

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