ブギーナイツ 音楽の魅力
PTAは、マーティン・スコセッシやクエンティン・タランティーノと同じく、物語の内容とリンクさせるように既存の楽曲を作品に取り入れるセンスに優れている。
助監督のリトル・ビルが妻の不倫現場を目撃するシーンでは、エルヴィン・ビショップのソウルナンバー『愛に狂って』がかかり、嫉妬で高ぶるリトル・ビルの気持ちを表現。
エディがスターの階段を駆け上がっていく様子をテンポ良く見せるダイジェストシーンでは、マーヴィン・ゲイ『黒い夜』やサウンド・エクスペリエンス『J・P・ウォーク』といった、腰をふるわせるファンクナンバーが使用され、上昇ムードを鮮やかに彩る。
ディスコ文化華やかなりし1970年代後半から幕を開ける本作には、R&B、ファンクなど、厚みのあるベース音に特徴を持つ楽曲が使用されている。サウンドトラックはあたかも、登場人物たちの下半身のうごめきを具現化したようであり、軽快な移動撮影やメリハリの効いた編集のリズムと抜群のコンビネーションを示し、作品が放つパワーを見事に増幅させている。
《使用されている楽曲》
ビーチボーイズ『神のみぞ知る』
マーヴィン・ゲイ『黒い夜』
エモーションズ『ベスト・オブ・マイ・ラブ』