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最後の最後まで油断できない展開

© Universal Pictures
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文系の女性がワイルドな男性に連れ出され、壮大なアドベンチャーに巻き込まれていく、という設定は、女性向けロマンス小説の定番。マシュー・ヴォーンは『ロマンシング・ストーン 秘宝の谷』(1984)から本作の着想を得たというが、このパターンの映画も数多く、最近ではサンドラ・ブロックの『ザ・ロスト・シティ』(2022)が近い。また、スパイ巻き込まれ系でいえばトム・クルーズとキャメロン・ディアスの『ナイト&デイ』(2010)なども連想させる。

なんにせよ、かなりコスられているシチュエーションであり、既視感も強いのだが、あえてベタな初期設定にすることでサプライズを連続させ、観客の予想を裏切りまくっていくのが本作のスタイルだ。

序盤は小説と現実が2重写しで進行したり、豪華キャストが続々登場するので、誰が敵で味方なのかもわからず、ミスリードされっぱなし。それまでの流れが揺らぐような事実が発覚してからも、まだ何かありそうな展開が続き、ヒネりにヒネりすぎてこっちの理解が追いつかないほど。

冷静に考えると辻褄も合わないような気もしてくるが、『ロング・キス・グッドナイト』(1996)の要素もあるし、ある意味で『ボーン・アイデンティティ』(2002)風味も漂ってくるので、最後の最後まで油断できない。

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