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80年代ディストピアSFの金字塔ー演出の魅力

ブレードランナー
映画ブレードランナー主演のハリソンフォードGetty Images

映画史を語る上で絶対に外せないSF映画がいくつかある。まずは、スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』(1968年)。続いて、アンドレイ・タルコフスキー監督の『惑星ソラリス』(1972年)。それに加えて名前が挙がるのは、この『ブレードランナー』だ。

本作は、フィリップ・K・ディックの小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を原作としたSF映画。監督は『エイリアン』(1979年)で知られる名匠リドリー・スコット。主演は『インディ・ジョーンズ』シリーズのハリソン・フォードが演じる。

本作を語る上で外せないのは、ディストピア的な世界観だろう。公開当時は『2001年宇宙の旅』や『スターウォーズ』シリーズなどの明るいムードのSF映画が全盛ということもあり興行的には失敗したものの、現在ではサイバーパンクSFの嚆矢とみなされるまでに至っている。

また、文化遺産としての評価も高く、1993年には米国議会図書館の国立映画保存委員会により国立映画登記簿に登記されているほか、2014年には、イギリスの『タイム・アウト』ロンドン版の「SF映画ベスト100」にて、第2位にランクインしている。さらに、2017年には『DUNE 砂の惑星』で知られる監督ドゥニ・ヴィルヌーヴにより『ブレードランナー2049』としてリメイクされている。

なお、本作には、1992年にスコット自身が再編集した「ディレクターズカット版」が、2007年には色調を変えて高画質にした「ファイナルカット版」が公開されている。特に前者では、従来の作品の解釈が変わるような新たなシーンが追加されている。

追加されたシーンとは、「デッカードが見るユニコーンの夢」の場面だ。このシーンは、ラストのガフが作ったユニコーンの折り紙と結びつくことによって、「デッカードの夢の内容が知られている=彼の記憶は作られたものである=デッカードもレプリカントである」という可能性を示している。鑑賞の上では要チェックだ。

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