ショーン・ヤングの圧倒的美貌―配役の魅力
本作の配役といえば、まずはレプリカントのレイチェルを演じるショーン・ヤングを挙げなければならないだろう。
気品のある美貌と乏しい表情の中に含まれた憂いー。スコットをして「彼女は完ぺきだった。まるでレプリカントの容器から今でてきたようだった」と言わしめた彼女の演技は、本作の作品世界の構築に大きく貢献している。
なお、ヤングは本作の出演後、交際していた俳優からストーカー行為で訴えられたり、ケガにより役を降板したりと不幸が続き、今ではインディペンデント映画での活躍が主になっている(なお、レイチェルは『ブレードランナー2049』ではCGとして出演しており、ヤングもアドバイザーに名を連ねている)。
また、レプリカントで言うと、反逆レプリカントのリーダーであるロイを演じるルトガー・ハウアーも交戦的ながら哲学的なレプリカントを内省的な演技で表現しており、物語に奥行きをもたらしている。
そして、本作といえば、デッカード役のハリソン・フォードだろう。落ち着いた演技で、ハードボイルド特有の重厚な雰囲気を醸し出している。なお、フォードは、興行的失敗や追加撮影の多さから、本作については長年否定的な態度を示していた。しかし、近年態度は軟化しており、『ブレードランナー2040』では、本作と同じデッカード役で出演している。