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合わせて読みたい一冊

『究極超人あ~る』(ゆうきまさみ/小学館)

『デッドプール&ウルヴァリン』
© 2024 20th Century Studios © and ™ 2024 MARVEL

 
 メタフィクションな『デッドプール』はコミックを原作としてるが、ここでは日本のメタフィクションの代表的なマンガである「究極超人あ~る」(ゆうきまさみ/小学館)を紹介したい。

 本作は春風高校に転校してきたロボットでなくアンドロイドのR・田中一郎を主人公に、春風高校光画部の個性豊かな部員とOBたちのドタバタギャグマンガ。

 文化部という力の抜けた学校空間の心地よさがクセになる「究極超人あ~る」は、全編がメタ的なギャグとネタのオンパレード。もちろん登場キャラクターが読者に語りかけることは当たり前、本作が雑誌「少年サンデー」連載を開始した1985年にプロ野球の阪神タイガースが日本一になったものの、翌シーズンに成績が低迷したことをネタにして京都の修学旅行回で熱烈な阪神ファンのバスガイドで茶化したり、光画部の鳥坂先輩が「CMネタはすぐ風化するぞ」とセルフなツッコみをしながらもその当時のコンビニのCMをギャグとして強行して(雑誌連載時はCMが放映していても単行本化時にはCMが終了しているため)「ほら風化した」とツッコみが入るなど、フィクションと現実世界のネタがギャグとしてふんだんに散りばめられている。

 あまりにメタな構造のために作品世界に読者が入り込んだような錯覚に囚われるという、エポックメイキングなマンガである。

 少々古いマンガなので風化しているネタもあるが、今読んでみてもメタフィクションと日常系の組み合わせの中毒性は最強であることを証明してくれるので、機会があればぜひ読んでほしい。

(文:すずきたけし)

【作品情報】

『デッドプール&ウルヴァリン』
大ヒット公開中!

監督:ショーン・レヴィ(『フリー・ガイ』『ナイト ミュージアム』)
キャスト:ライアン・レイノルズ、ヒュー・ジャックマン
日本版声優:加瀬康之、山路和弘

原題:『DEADPOOL & WOLVERINE』 US公開日:2024年7月26日
コピーライト:© 2024 20th Century Studios / © and ™ 2024 MARVEL.
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

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