卓越した映像技術でマルチバースを表現ー演出の魅力
本作は、「マーベル・コミック」に登場するヒーローを扱った「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」の第14作目。監督は『地球が静止する日』(2008年)や『フッテージ』(2012年)で知られるスコット・デリクソン。主演のドクター・ストレンジをベネディクト・カンバーバッチが演じる。
本作の最大のポイントは、マルチバース(多元宇宙)の描写だろう。マルチバースとは、複数のパラレルワールドが並行して存在することを意味する、マーベルをはじめとするアメコミ映画では頻出の概念だ(ちなみに「マーベル・シネマティック・ユニバース」の「ユニバース」には、「複数ある宇宙のうちの一つ」という意味が込められている)。
本作では、そんなマルチバース由来の魔術により、時間・空間そのものを操作しながら戦闘するため、とにかく映像表現が凄まじい。かつて、『マトリックス』(1999年)が公開された当時「映像革命」という言葉がもてはやされたが、本作ではこのレベルの映像表現が当たり前のように出てくる。
なお、本作の続編である『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022年)では、マルチバースの世界観がよりはっきりと登場する。
アベンジャーズの一員であるドクター・ストレンジ。彼が登場するマーベル映画を時系列順に整理すると下記のようになる。
①『ドクター・ストレンジ』(2016)
②『マイティ・ソー/バトルロイヤル』(2017)
③『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)
④『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)
⑤『スパイダーマン/ノーウェイホーム』(2022)
⑥『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)
多岐にわたるMCU作品の中でも、特にドクター・ストレンジの活躍を追いたいという方は、上記の作品を押さえておくといいだろう。