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完璧主義の嫌なヤツ。しかし憎めないー配役の魅力

俳優のベネディクト・カンバーバッチ
ストレンジ役のベネディクトカンバーバッチGetty Images

本作の配役といえば、やはりストレンジ役のベネディクト・カンバーバッチを挙げなければいけないだろう。ヒーローといえば、本来完全無欠であるのが世の常だが、カンバーバッチ演じるストレンジは、自身の傲岸不遜さが災いして事故につながってしまうという、なんとも人間くさいヒーローだ。

とはいえ、傲岸不遜といっても、決してイヤなヤツではない。時にジョークを飛ばしたり、無様な姿を見せたりと、憎めないヤツなのだ。こういっまストレンジのキャラクターは、まさにカンバーバッチでないと演じられなかっただろう。

他のキャストで印象的なのは、ストレンジの敵役、カエシリウスを演じるマッツ・ミケルセンだろう。『007/カジノ・ロワイヤル』(2006年)をはじめ、数々の悪役を演じてきたミケルセンだが、本作でも貫禄たっぷりの存在感を放っている。

ドクター・ストレンジのカマー・タージにおける兄弟子、モルドを演じたのは、2013年公開の『それでも夜は明ける』でアカデミー賞にノミネートされた黒人俳優・キウェテル・イジョフォー。モルドは奔放なストレンジの振る舞いをたしなめることができる存在であり、いざという時は息の合ったコンビプレーで敵を蹴散らす。脇役ではあるがなくてはならない存在だ。

また、ストレンジの師、エンシェント・ワンを演じるのは、『ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女』(2005年)や『フィクサー』(2007年)で知られるティルダ・スウィントン。中世的かつ浮世離れしたオーラで作品に華を添えている。

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