2.演出がシリーズベスト
本作にて、脚本・監督・視覚効果を務めた山崎貴。彼は、日本で最も成功を収めている映画監督の一人であり、映画『ゴジラ-1.0』では、コンピューターグラフィックスを映画表現に落とし込む、彼の強みが遺憾なく発揮されている。
本作には力強い映像と、息を呑む撮影技法がふんだんに盛り込まれている。しかし作中で山崎監督の影響が最も感じられるのは、アクションシーンと破壊のバランス、そして物語の親密的で感情的な瞬間だ。
現地メディア米MovieWebのジュリアン・ローマンは「山崎は、力強く感情的なテーマでジャンルを超えた怪獣襲撃の傑作を生み出した」と語っている。
また、演出と並んで本作を見応えのある作品にしているのは、ドラマを引き立てる素晴らしい音楽だ。
映画批評サイトRogerEbert.comのサイモン・エイブラムスは、映画『ゴジラ-1.0』の音楽について、「最近のゴジラ映画では群を抜いた劇的効果を孕み、神経を擦り減らす程のスコアとなっている」と語る。
本作の音楽を担当しているのは、作曲家の佐藤直紀。過去に音楽を担当した『ALWAYS 三丁目の夕日』では、日本アカデミー賞・最優秀音楽賞を獲得しており、山崎貴作品に欠かせない存在である。
今回、佐藤が作り上げたオペラの影響を感じさせるドラマチックなスコアは、過去数十年のゴジラ映画の中でも傑出した出来栄えを誇っている。重要なシーンでは、伊福部昭が作曲した有名なオリジナル・テーマを見事に織り込んでおり、年季の入ったゴジラ・ファンも狂喜させた。