5.アクションシーンが素晴らしい
映画『ゴジラ-1.0』の核となる人間ドラマの力強さもさることながら、過去最高レベルの怪獣アクションが堪能できる。
映画のニュースやレビューサイトのC3 Films創設者であるクリス・パーカーは「現代的なアクションとオリジナルの感覚と精神がシームレスに融合した完璧なゴジラ映画」ときわめて高い評価をくだしている。
映画『ゴジラ-1.0』のゴジラは、1954年の映画『ゴジラ』と同様のやり方で、東京の町をゆっくりと踏みつけ殺戮をもたらす。列車に噛みつき、熱線を放つゴジラの攻撃は突発的だ。
初代ゴジラは、ゴジラがもたらす恐怖を核の恐怖と結び付けていた。1954年当時、アメリカとソ連をはじめ、世界各国が競うように核開発を推し進めていた時期であり、「核戦争による世界の消滅」は決して絵空事ではなかった。それはロシアとウクライナの戦争が泥沼化している現在でも同じだろう。『ゴジラ-1.0』は、そうしたメッセージを手放すことはない。
山崎貴は本作で、ゴジラのオリジナル・テーマを拡大解釈し、戦争、トラウマ、罪悪感をより深く掘り下げた。現地メディアPaste Magazineの編集者であるElijah Gonzalezは「ゴジラの破壊は、戦後の苦境に立たされた日本と重なり、この紛争によってもたらされた破壊と精神的なダメージを暗示している」と語っている。
裏を返せば、この映画で表現されているのは希望のメッセージなのだ。本作の登場人物たちは団結してゴジラを倒す。最終的には、より良い未来を築くためには、一人ではなくみんなの力が必要となるのだ。
言うまでもなく、ゴジラは破壊的な存在である。『ゴジラ-1.0』は、そうした理不尽な存在と対峙する人類の姿を描き込み、自分たちの力で未来を切り拓こうとする人間たちを通して、ある種の希望を描くことに成功している。