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海戦で力を見せつける日本
最大のネックは日本人の国民性!?

©2023 TOHO CO., LTD.
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これまで見てきた「vs.ゴジラ」シミュレーションにおいて、各国ともゴジラの上陸地点が大きな変数となるが、日本は特にそれが重要となる。

具体的には、
①東京湾をはじめとする大都市圏
②地方中核都市付近
③それ以外
以上の区分で対応が大きく変わるのだ。

①の場合、とにかく被害拡大を食い止めるため、他の国ではしないような、もう一度ゴジラを海に誘い出しての撃退作戦を優先するだろう。「海神作戦」は旧海軍艦艇しかゴジラ戦で計算できる戦力がないための手段であった。これが現代になると、大都市圏での自衛隊の武器使用の決断が、特に日本は難しい。

しかし②の場合、状況は少し変わってくる。例えば宮城や静岡、高知などでの、各県庁所在地レベルの地方都市への上陸の場合は、上陸後の進路を見定めた上で、近郊農業地帯や比較的人口密度が低いエリアに移動を認めた時点での武力行使というのが基本的な判断になるだろう。

これは③と共通する。③の場合は、被害が大きくなる人口密集エリアへの移動前に叩くという判断になるだろう。

いずれの場合でも、ゴジラに直面した日本の問題は、コラテラルダメージへのコンセンサスの欠如だ。

これは「重大な政治的決定に不可避の犠牲」という意味で、例えば『シン・ゴジラ』(2016)に登場したゴジラの場合、最初、大田区蒲田に上陸したゴジラ第2形態(いわゆる「蒲田くん」)の段階で、武力行使を決断していれば倒し得たと主張する意見は強い。

しかし「戦争で命を粗末にし過ぎた」ことへの反動の心理のまま三世代以上を重ねてきた現代の日本社会において、住民の避難が不十分な状況での武力行使を決断するのは難しい。

最終的にゴジラを撃退できたとしても、『シン・ゴジラ』同様、初動の遅れによって、充分回避し得た損害が発生するのではないかと危惧される。

(文・宮永忠将)

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