B級映画ファン垂涎のキャスティング―配役の魅力
配役に関していえば、まずは主人公のザ・ブライドを演じるユマ・サーマンを挙げなければならない。
『パルプ・フィクション』のヒロイン役で大ブレイクを果たしたユマだが、本作ではアクション俳優の名に恥じない完璧な殺陣を披露。180㎝のすらりとした長身で敵をバタバタと切り伏せる姿は、唯一無二のオーラを放っている。
また、ザ・ブライドの最大の敵であるオーレン役のルーシー・リューにも注目。彼女も、アジア出身の女優らしいクールビューティで本作の格調を高めている。特に、青葉屋での決闘シーンで彼女が片言の日本語で叫ぶ「ヤッチマイナァ!」は公開当時大きな話題を呼び、テレビCMでパロディ化されるなど人気を博した。
そして、本作といえば、千葉真一や栗山千明など日本人の役者たちの活躍も忘れてはならない。特に栗山は、若干19歳ながらユマにひけをとらない見事なアクションを演じている。加えて千葉は、出番こそ少ないもののユマをはじめとする女優たちに剣術を指導しており、スタッフとしても貢献している。
また、本作には、國村隼や菅田俊、風祭ゆき、高橋一生、北村一輝ら著名な役者たちがカメオ出演。とりわけ、田中親分役の國村隼、弁田親分役の菅田俊、青葉屋の女主人役の風祭ゆきは、三池崇史監督の『殺し屋1』(2001年)を見て起用を決めたという。
なお、主演のユマは、『キル・ビル Vol.2』でスタントマンなしでのアクションシーンを演じた際に事故を負い、それ以来タランティーノとは絶縁状態になっている。筆者としては彼女が再びタランティーノ作品に出演する日が来ることを願ってやまない。