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B級映画特有のケレン味の再現―映像の魅力

映画『キル・ビル』主演のユマ・サーマン
映画キルビル主演のユマサーマンGetty Images

ヤクザ映画やゾンビ映画といったB級映画にはある特徴が共通してみられる。それは「ケレン味」だ。

一般的に、B級映画は低予算で制作されるため、通常の映画ほど演出や配役にリソースを割くことができない。だからこそ演出においては「いかに観客にショックを与えるか」がポイントとなる。

こういったB級映画特有のケレン味は、本作の映像表現にも随所にみられる。例えば、殺陣のシーンでは、手首や腕、そして首と四肢がポンポンと飛び、真っ赤な血しぶきが上がる。見ようによってはかなりグロテスクなシーンだが、死体や血の作り物感もあいまって不思議とグロテスク感はあまり感じられずむしろ快感すら感じられる。

また、本作のクライマックスである青葉屋での決闘シーンでは、映像がいきなりモノクロになったり影絵のようになったりと映像がコロコロと変わっていく。このあたりの演出の意味の無さには、カルト映画の巨匠として知られる鈴木清順のエッセンスも感じられる。余談だが、青葉屋の内装は東京・西麻布にある和食レストラン「権八」をモデルにしている。

なお、殺陣のシーンで四肢が飛ぶ描写は『子連れ狼 三途の川の乳母車』(1972年)のオマージュとのこと。本作の映像には、この他にも無数のパロディシーンがあるため、気になった方はご自身で調べてみてほしい。

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