巨匠マーティン・スコセッシによる職人技
セリフでどんな殺し方をしたのかたっぷり語っているのに、ちゃんと回想シーンで映像として見せてくれるのはスコセッシ流のサービス精神だろうか。
終幕には、ラジオドラマで顛末を語るという大胆な演出が出てくるが、これも観客を飽きさせないためのアイディアかもしれない。突然の展開に驚くが、「当時はこうやって効果音を出してたんだ」という好奇心が勝って、ワクワクしながら見入ってしまう。
時間をたっぷり使って描かれるのは、重い史実と、人間の業だ。ずっしりとしたテーマなのに、するすると観られてしまうのは、監督、俳優、そして熟練のスタッフたちの職人的な仕事の賜物だろう。ロールしないエンドクレジットが映し出されるころには、なんともいえない「映画を見た」という満足感に浸れる。
(文・灸怜太)
【作品情報】
◆監督:マーティン・スコセッシ
◆脚本:エリック・ロス、マーティン・スコセッシ
◆プロデューサー:マーティン・スコセッシ、ダン・フリードキン、ブラッドリー・トーマス、ダニエル・ルピ
◆エグゼクティブプロデューサー:レオナルド・ディカプリオ、リック・ヨーン、
アダム・ソマー、マリアン・バウアー、リサ・フレチェット、ジョン・アトウッド、シェイ・カマー、ニールス・ジュール
◆キャスト:レオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロ、ジェシー・プレモンス、リリー・グラッドストーン、
タントゥー・カーディナル、カーラ・ジェイド・マイヤーズ、ジャネー・コリンズ、ジリアン・ディオン、ウィリアム・ベルー、
ルイス・キャンセルミ、タタンカ・ミーンズ、マイケル・アボット・ジュニア、パット・ヒーリー、スコット・シェパート、
ジェイソン・イズベル、スターギル・シンプソン
公式サイト