映画『朽ちないサクラ』にみる杉咲花の芝居の“凄み”とは? 徹底考察&評価レビュー。役者としての稀有な魅力を徹底解説
text by 苫とり子
春ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)によって俳優として不動の地位を確立した杉咲花。ドラマのみならず映画での活躍が目覚ましい彼女の主演最新作『朽ちないサクラ』が現在公開中だ。今回は、実力派俳優・杉咲花の過去の出演作を振り返りながら、その魅力を徹底考察する。(文・苫とり子)
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【著者プロフィール:苫とり子】
1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。
役者として進化し続ける杉咲花の魅力とは
「第28回日刊スポーツ・ドラマグランプリ(GP)」の春ドラマ選考が行われ、『アンメット ある脳外科医の日記』(カンテレ・フジテレビ系)の杉咲花が堂々の主演女優賞を獲得した。この結果に異論がある人はおそらくいないだろう。
昨年から映画『市子』(2023)、『52ヘルツのクジラたち』(2024)など主演作が続いており、いずれも高い評価を得た杉咲。相当な覚悟を必要とする難役を経て、役者としてさらなる進化を遂げた彼女の“今”がドラマには表れていた。
不慮の事故により、寝て起きたら前日の記憶が失われてしまう記憶障害を負った脳外科医・川内ミヤビ(杉咲)の再生を描いた本作。その制作過程は通常のテレビドラマとは少々異なっており、俳優陣はスタッフと日々ディスカッションを重ねながら役をものにしていった。
中でも杉咲の役との一体感は凄まじい。毎回、前作でのイメージを一新し、“演じる”というより“生きる”と表現するに相応しい芝居を見せてくれる杉咲。
フィクションであるのも忘れ、どの台詞も表情も、まるで彼女自身から発せられているような気持ちになる。