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指折りの傑作『アンメット』での熱演

© Culture Entertainment Co.,Ltd.
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 特に第9話における、ミヤビの元婚約者で同じ脳外科医・三瓶を演じる若葉竜也との長回しのシーンはそれが顕著だった。演技の怪物が相対すると、こんなにも生々しく心揺さぶられるものなのか。

 三瓶が自身の過去を吐露した後、ミヤビが口にした「三瓶先生は私のことを灯してくれました」という言葉がアドリブだったと知った時は震えた。役への深い理解がなければ、咄嗟に出てこない台詞だ。

 圧倒的なカリスマ性で作品を牽引していく役者もいるが、杉咲の場合は背中で語るタイプ。まずは自分がとてつもない熱量を役作りに注ぎ、その説得力が自然と周囲を動かしていく。結果、結集された力が『アンメット』という“指折りの傑作”を生み出した。

 前述した通り、近年映画界に役者として多大な貢献を果たしている杉咲。

 子役の頃から「梶浦花」の名義で活動し、映画『トイレのピエタ』(2015)や『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016)で新人賞や助演女優賞を総なめにするなど、早くから実力派として注目されていた彼女だが、ここにきての成長には目覚ましいものがある。

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