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杉咲花は“お月さん”のような役者

© Culture Entertainment Co.,Ltd.
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 そして最大の見せ場といえば、泉が上司である富樫(安田顕)と対峙するシーンだろう。ここで泉が溜め込んでいた感情が爆発し、杉咲と安田の演技がぶつかり合う。

 この時、ふと思い出したのが杉咲主演の連続テレビ小説『おちょやん』(NHK総合)におけるセリフだ。

 同作で杉咲は昭和の大女優・浪花千栄子をモデルにしたヒロインの千代を好演した。わずか9歳で奉公に出され、数々の困難を乗り越えながら女優として大成していった千代。

 そんな彼女をとある人物が「お月さんみたいな役者」と表現する。暗闇を照らす月のように、相手の魅力を引き出す役者だと。

 杉咲もまた“お月さん”のような役者だ。杉咲単体でも素晴らしい役者だが、誰かと対峙した時にその真骨頂が引き出される。安田との演技合戦でも、それぞれの名演が互いの魅力を引き出していた。このワンシーンだけでも映画料金2000円の価値が十分にある。

 出演作ごとに自身の最高を更新し続ける俳優・杉咲花。天井知らずの成長を見せる彼女からこれからも私たちは目を離すことができない。

(文・苫とり子)

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