冴え渡る映像美と音楽にテンション爆上がり…映画『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』考察&評価。忖度なしガチレビュー
text by 司馬宙
「次世代のタランティーノ」と称され、ポップでダークな世界観で注目を集めるイラン系アメリカ人の映画監督アナ・リリ・アミリプールの最新作『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』が現在公開中だ。決して微笑まない少女モナ・リザの逃走劇を描いた本作のレビューを紹介する。(文・司馬宙)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
「次世代のタランティーノ」アミリプール
全世界待望の新作は“微笑まないモナ・リザ”
ルネサンスの巨匠レオナルド・ダビンチの代表作である《モナ・リザ》。彼女の微笑みは、長年にわたり数多くの人々を魅了し続けてきた。しかし、本作に登場する「モナ・リザ」は、決して微笑まない―。
本作は、「次世代のタランティーノ」と大注目されたアナ・リリ・アミリプール監督最新作。謎の少女モナ・リザを演じるのは、『バーニング 劇場版』(2018年)や、Netflixの「バレリーナ」(2023年)などの出演で知られる韓国人俳優チョン・ジョンソ。彼女をある計画に引き込むストリップダンサーを『あの頃ペニー・レインと』『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』のケイト・ハドソンが演じる。
主人公モナ・リザは、12年もの間精神病院に隔離されていた謎の少女。赤い満月の夜、他人を操作する特殊能力に目覚めた彼女は、病院のスタッフを特殊能力で操り、自由と冒険を求めて施設から抜け出す。そんな彼女がたどり着いたのは、快楽の街ルイジアナ州ニューオーリンズ。特殊能力で警官を丸め込んだ彼女は、さまざまな人々と出会い、交流を深めていく―。
デビュー作『ザ・ヴァンパイア~残酷な牙を持つ少女~』(2015年)がサンダンス映画祭をはじめとする世界各国の映画祭で絶賛され、『マッド・タウン』(2016年)が第73回ヴェネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞。映画監督として華々しい実績を積み上げるアミリプールだが、本作でもオリジナル脚本を手掛けており、第78回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に正式出品されている。