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今もなお愛されるブロードウェイ史上最長ロングラン作品

©2004The Scion Films Phantom Production Partnership
©2004The Scion Films Phantom Production Partnership

 本作は、ガストン・ルルーのゴシック小説が基になっている。初演は1986年ロンドンのハー・マジェスティーズ劇場だ。すぐさまその評判は世界中を駆け回り、1988年にはミュージカルの聖地・ブロードウェイに上陸。ブロードウェイ史上最長のロングラン作品として名を馳せ、2023年に惜しまれつつも35年の幕を閉じた。

 実はブロードウェイに上陸した年と同じ1988年に日本で劇団四季による初演が行われている。それ以降、劇団四季は全国各地で断続的に『オペラ座の怪人』を上演している。2024年6月現在は神奈川・KAAT神奈川劇場にて横浜公演が行われており、今もなお人々に感動と興奮を届け続けている。

 そんな名作ミュージカルを映画化した本作の主題は「愛」と言えよう。この映画は3人の若者のラブストーリーであり、歌姫クリスティーヌと初恋の相手・ラウルとのロマンティックな恋を描くと同時に、クリスティーヌが怪人“ファントム”の魅力に本能的に惹かれていく劇的な瞬間も映し出している。

 愛と憎しみが交錯するこの物語でファントム/エリック役を託されたのはジェラルド・バトラーだ。悲しく寂しい運命を背負うファントムは、恋敵であるラウルとは対照的な暗い魅力を持っている。

 ラウル・シャニュイ子爵役に選ばれたパトリック・ウイルソンは、演技もテノールの歌声も美しい実力派。他のキャストを差し置いて、彼の配役がいの一番に決まったという。劇中では、深い愛でクリスティーヌに尽くすラウルの感情を丁寧な芝居で表現している。

 ヒロインのクリスティーヌ・ダーエ役には、オーディション当時16歳だったエミー・ロッサムを起用している。7歳の時からメトロポリタンの舞台に立っていた彼女の歌声や演技は非常に素晴らしい。

 ちなみに、クリスティーヌ役のエミーとラウル役のパトリックは音楽の経験者だが、ファントム役のジェラルドは正式にレッスンを受けたことがなく、一から始めなければならなかった。しかしながら、そのパフォーマンスはとてもミュージカル初心者とは思えない。優れた歌と演技で独自のファントム像を作り上げることに見事成功している。

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